サラリーマンの方は、基本的に会社が年末調整を行なってくれているので原則確定申告は不要ですが、個人事業主の方は年末調整を行っているわけではないのでそうはいきません。
自分で1年の所得を申告する必要があり、その方法も自ら調べるか、専門職の方に依頼するなどの対応を取らなければしかるべくペナルティを受けてしまう可能性もでてきます。
そこで、この記事では個人事業主の確定申告の情報をご紹介していきます。
サラリーマンと個人事業主の違いは?
そもそも、確定申告においてサラリーマンと個人事業主の違いとはどのような違いがあるのでしょうか?
サラリーマンの場合、自分で確定申告を行なわなくとも会社から与えられている給与から自動的に税金が引かれていくので、サラリーマンの方は確定申告を行う必要はなくなっています。
ですので、サラリーマンの方も確定申告を行なっていないからといって決して税金を納めていないわけではなく、会社が代わりに納税を行なってくれているので、単純に確定申告を行なう手間が省けられているのです。
しかし、個人事業主は自ら年間の事業の所得がいくらだったかを計算し、税務署に申告しなければいけません。
そのため、まずは所得の計算方法を知っておかないと確定申告も行なう事ができないのです。
所得の計算方法
では、次に所得の計算方法をみていきましょう。
計算方法と書くと少し難しい感じもしますが、決して難しい計算はありません。
所得の算出方法は単純に、
『収入(事業の売り上げ)』-『経費(人件費、仕入れ費用など事業に使ったお金)』=『所得』
となります。
収入は単純に事業の全ての売り上げと考えてもらって結構です。
経費は基本的に事業にかかったお金全てを含めることができますが、場合によっては税務署から「何に使ったのか?」と質問を受けてしまう可能性もあります。
ですので、あまり関係ないものを経費に含めることはおすすめできません。
そして、全ての収入と経費を算出できましたら収入から経費を引きましょう。すると引いた合計金額がそのまま所得となります。
また、収入がどれだけ多くても経費がそれを上回ったら赤字となりますのでご注意ください。
税務署に申告する税金は?
基本的に個人事業主は、
①所得税
②消費税
③復興特別所得税
上記3つを税務署に申告しなければいけません。
所得税は単純に所得にかかってくる税金であり、この所得税額を計算するためにも自身の所得を計算する必要がでてきます。
消費税は収入にかかってくる税金であり、原則としまして2年前の収入が1,000万円を超えてる方のみに適用されます。
また、他にも税金には
①国民健康保険税
②住民税
③事業税
などがありますが、これらの税金は所得税を申告することによって納税額の通知が自宅まで送られてくるので問題ありません。
所得が少ない!そのような場合でも確定申告は必要?
個人事業主の方で事業を起こしたばかりの場合、いきなり大きな所得を得ている方は多くありません。
むしろ、最初は沢山の経費がかかってしまったり、事業が上手くいかず収入が少なかったりと所得があまりない方のほうが多いでしょう。
そのような中「税金を払え」と言われても抵抗がありますよね。
しかし、ご安心を。
個人事業主の方でも全ての方が確定申告が必要なわけではなく、確定申告が義務付けられているのは「年間38万円以上の所得がある方」という決まりがあるので、その金額以下の所得の方は確定申告を行わなくてもペナルティ等を課される心配はありません。
では、なぜ所得が38万円以下の方は確定申告を行う必要がないのでしょうか?
難しくて心配な方は無料で相談できる税理士ドットコムというサービスもあるので問合わせて見てください。
全員が受けることができる基礎控除
実は、誰でも受けることができる『基礎控除』というものが存在し、その金額が38万円となっているため、所得が38万円以下の方は確定申告が不要とされています。
課税所得が0円になってしまうためですね。
しかも、場合によっては保険控除や医療控除等の控除額が多かったり、所得控除額が多かったりすると所得が38万円以上あっても確定申告は不要となることもあるのです。
このように、個人事業主でも赤字だったり所得が少なかったりする場合には確定申告は不要となることも多く存在します。
ですが、それが絶対に得かといえば決してそんなことはありません。
赤字や所得が少ないケースでも確定申告を行なったほうがお得なケースもあるのです。
赤字は繰り越す事が可能
所得が赤字だった場合、基準の金額である38万円に届いていないので確定申告を行なう必要はありません。
しかし、実は赤字というのは翌年以降に繰り越す事が可能となるのです。
例えば、今年の所得が-100万円だった場合、その所得を翌年に繰り越せば、例え翌年の所得が+100万円だったとしても前年の赤字繰越で所得額は0円として申告できます。
本来ならば100万円にかかってくる税金が0円となるので多大なる節税効果となるのです。
しかし、これらはしっかりと青色申告(下記参照)を行った場合に限るので注意が必要です。
個人事業主の所得証明
ローンを組んだり融資を受けたりするためには所得証明書が必要となるケースが多いです。
しかし、個人事業主の場合サラリーマンの方のように給与明細等が発行されるわけではないので所得を証明する事が難しくなります。
そこで、本来ならば市町村役場などで収入証明証を発行してもらうのですが、確定申告を行っていない場合は収入証明証を発行することはできません。
そのため、必然的に確定申告を行っていない方はローンを組んだり融資を受けたりする事が難しくなってしまうのです。
国民保険料の増加
所得が38万円以下の場合でも確定申告を行なわなければ、全ての人が無申告者として扱われるので保険料は一定額が適用されてしまいます。
基本的に、国民保険料というのは前年の所得額に応じて金額が決定されるので、自身の所得が低い場合は確定申告を行なったほうが保険料が安くなるのです。
青色申告と白色申告
確定申告を行なう方法としまして、大きく分けて2種類あります。
それは、
①青色申告
②白色申告
の上記2種類です。
青色申告は最大65万円の控除を受ける事が出来るので大きな節税効果に期待できる事が特徴です。
しかし、65万円の控除を受けるためには複式簿記によって帳簿を記帳していかなければいけないため、手間と時間が白色申告に比べて大幅に掛かってしまいます。
また、控除を受けるためには事前に税務署に届出を出しておかなければいけないのでその点も注意が必要です。
白色申告は青色申告の65万円控除のように複式簿記を用いないので比較的難しい知識も要らず記帳の手間と時間がそこまでかからないというメリットがあります。
ですが、白色申告の場合は控除額が0円ということもあり節税効果としましては非常に低いです。
手間がかかってしまうが節税効果に期待できる青色申告を選択するか、節税効果は期待できないが、手間や時間があまりかからない白色申告を選択するかはあなたの業種や、経理に割く時間の有無等を加味して決定しましょう。
確定申告は日々の帳簿付けが大事!
確定申告を行なうためには、青色申告を選択するにしても白色申告を選択するにしても帳簿をつける事が必須となります。
また、正しい所得を申告するためには日々正しい数字を記帳しておく事が重要です。
申告額にズレがあった場合などは、税務署からの指導があるケースもありますので気をつけましょう。
個人事業主の方は確定申告とずっと向き合っていかなくてはいけません。
そのため、少しでも多くの知識を知っておくことをおすすめします。