10月に入り、ビザやマスターカード、PayPal、eBayなど大手企業パートナーが相次いで離脱を表明しました。あらかじめ参画を申し出ていた27社のうち、4分の1が取り消したことになります。
そして仮想通貨「リブラ」の発行延期をFacebookのCEOが決めた背景を解説します。これは単に米議会公聴会においてFacebookがヘイトグループの運営を支援したり、ロシアの選挙干渉などの不正疑惑などがありますが、単に嫌われてしまっているだけではないということも説明をします。
リブラとは?
リブラは、アメリカのFacebook社が発表をするはずだった仮想通貨になります。
ベースはブロックチェーンですが、FacebookのIDがあれば口座を作成することができるため、特定の場所に住所がない人や移民、難民のように住む場所を追われ、住む場所がない人でもFacebookのIDさえあれば、仮想通貨のプログラムに参加しお金を送金できるシステムとなるはずでした。
リブラが問題視される理由の考察
中国のWeChat
リブラが問題視される理由ですが、一つはこのリブラのサービスが実は中国で先行されているSNSサービスの後追いであり、中国のWeChatと同じ機能を有しているため、パクリであるとさえ言われています。
マネーゲーム感
それと、そもそも、仮想通貨自体のイメージが犯罪に使われている、もしくはお金持ちの人々のマネーゲームの場となっているイメージが先行しているため、住所がない、住むべき場所がない人の財産を集めた場所としてリブラはふさわしいのかという問題もあります。
セキュリティと処理能力
セキュリティに関するお話で、仮想通貨の最大大手であるビットコインなどにおいても投資家の方の仮想通貨が流失をしました。
リブラにおいてはビットコインと比較した場合、毎秒7件がビットコインの処理能力になりますが、リブラは1000件のデータを処理できるとされています。ですが、この処理能力、実はたいしたことはなく、クレジットカードと比較した場合10分の1程度の能力でしかないのです。
その為、Facebook利用者全員もしくはこれからFacebookを利用しIDを作ろうとしている人がいれば、処理能力を上回り、システムはダウンする可能性もあります。現時点でFacebook利用者は23億人ですのでたったの1000件程度の処理能力では、現実的に考えて処理能力が追い付かず、システムダウンの恐れがあります。
取引の保証
システムがダウンするということはその間に、失われる取引もあります。その取引の保証やシステムがダウンしている間に失われたデータ、つまり仮想通貨の資金が生まれても同様に仮想通貨の保証などをどのように保証するかという保証に関する問題もあります。
特に、システムがダウンしてから、アップデートを行った場合、問題として起きたものとしては、ハードフォーク(仕様の変更)があります。これはブロックチェーンの仕組みそのものを変える大型のアップデートで、場合によっては仮想通貨の取引が無効となり、資産が減少してしまうこともあります。
このように、仮想通貨の問題は利用者が多いと見込まれるものに対しては、セキュリティという概念で、運用後も安定してシステムを導入できるかという問題があります。リブラはそのセキュリティにおいても問題がないとは言えない状態であるため問題視されています。
米議会公聴会に嫌われているのは些細な事
米議会公聴会の役員の中には通貨至上主義つまり、現金至上主義の方もおり、現金や通貨などの貨幣以外は信用できないと考えている方もいます。
それと同時にリブラは、アメリカの政治問題にも関わっており、運営会社であるFacebookが、ヘイトグループに支援金を渡したり、アメリカの大統領選挙にロシアが干渉する際の手助けをしたというニュースもあり、果たしてアメリカでこのFacebookという会社を設立したCEOが提唱する新しい仮想通貨を承認してよいものかという懸念もあります。
Facebook CEO、米議会公聴会に出席–仮想通貨「Libra」などで厳しい追及※CNET Japan
つまり、アメリカの議会員に嫌われているということです。ただ、この場合単純にアメリカの利益を損なう可能性については大きくあり、単純にまだ、信用できない会社というだけであり嫌われているというよりかは、そんなにたくさんの利用者が一気に仮想通貨で取引をした場合、「システムがパンクしないかどうか」・「アメリカの信用が下がらないか」。ということが大きな問題であり現金至上主義の議員や、FacebookのCEOの考え方が嫌いな議員との問題は些細なことです。
まとめ
Facebookが発端の仮想通貨となりはずのリブラですが問題は山積みで、投資家からしてみれば仮想通貨のシステムが安全であるかどうかと、一度に大量に処理できるデータ能力に疑問がある方も多いようです。
その為、23億のFacebook利用者が仮想通貨のシステムを使用したらシステムがパンクすると言われています。また、CEOがヘイトグループに対して資金援助をしていた問題もあり、トラブルが起きた場合、アメリカの国という信頼が脅かされるという問題もあり、CEOはリブラの発行を延期したものとみられます。
その為、現在CEOは政治的介入が行われないスイスにてリブラを発行しようと考えているようですが、いずれにしろセキュリティや仮想通貨の取引処理能力が向上しないことには難しい問題です。