株式投資の利益は確定申告が必要?特定口座で不要な場合と繰り越し控除で損をしないやり方

株式投資と確定申告 確定申告

株式投資は、ネットの普及や以前よりも簡単に投資を行うことができるようになったこともあり、サラリーマンの方や主婦、はたまた学生など幅広い層の方が行うようになった人気の投資方法です。
また、株式投資で一定の利益を上げている場合、その所得は確定申告などを行い税務署に申告する義務があるのですがご存知でしょうか?
これからマイナンバーが導入され、確定申告の無申告に関しては今までより一層監視が厳しくなることが予想され、株式投資を行っている方も正しい確定申告についての知識を持っていなければ思わぬペナルティを課せられてしまう可能性も出てきます。
そこで、この記事では株式投資と確定申告についての情報をご紹介していきますので、知識を持っている方もそうでない方も再確認してみましょう。

株式投資の確定申告を行なう条件

株式投資の確定申告を行なう条件
本来確定申告とは全ての方に申告義務があるかといわれれば決してそうではなく、年末調整を行っているサラリーマンの方や一定以上所得がない方などは確定申告を行なわなくても問題ありません。
しかし、株式投資を行っている場合はすこし条件が変わってきます。
例えば、本来確定申告が不要なサラリーマンの方なども株式投資によって一定以上の所得を得ているならば確定申告は義務づけられるのです。
では、どのような方が確定申告が必要となってくるのか?以下をご覧ください。

①主婦・学生・家事手伝い(主婦(配偶者)や学生などの扶養家族の方)
所得が(株式投資を含む)38万円以上ある場合は確定申告が必要。
②自営業・自由業(フリーランス・フリーターなど)
株式投資での所得に関わらず、38万円を超える所得がある場合は確定申告が必要。
③年金生活者(公的年金等の収入額が400万円以下の方)
公的年金等に関わる雑所得以外の所得(株式投資を含む)で年間20万円以上の所得がある場合。
④会社員(給与所得が2,000万円以下の方)
給与所得や退職所得以外の所得(株式投資を含む)で20万円以上の所得がある場合。

上記を見ていただいたら分かると思いますが、主婦や学生、サラリーマンなど確定申告を義務づけられる条件は様々です。
ですが、基本的に38万円を超える利益を株式投資によって上げているならば、誰でも確定申告は必須となっています。
まずは、自分がどの程度株式投資にて利益を上げているか確認し、上記条件と照らし合わして確定申告が必要か確認してみましょう。
難しくて心配な方は無料で相談できる税理士ドットコムというサービスもあるので問合わせて見てください。

株だけの特権『源泉徴収あり特定口座』

株だけの特権『源泉徴収あり特定口座』
「確定申告って面倒くさそう」そう考える方は多いでしょう。
実際、手間も時間もかかるのでその考えは間違えていないと思います。
しかし、実は株式投資に限っては一定の利益を上げていても確定申告を行なう必要がなくなる方法が存在します。
それは、『源泉徴収ありの特定口座』を利用することです。
源泉徴収ありの特定口座を利用する場合、自動的に証券会社が納税を行なってくれるので確定申告の必要がなくなります。
また、NISA口座を使用する場合も基本的に非課税となりますので確定申告は不要です。
注意点があるとすれば、源泉徴収ありの特定口座を利用したい場合は口座開設時に選択するか、通常口座を利用している場合は自分で切り替えないと自動的には切り替わらないという点でしょう。
源泉徴収ありの特定口座を利用したからといって特別な料金等がかかるわけではないので、「確定申告を行ないたくない」という方は利用を検討してみることをおすすめします。

赤字でも確定申告を行なったほうがお得?

基本的に、株式投資で利益を上げていないならば確定申告は行なわなくても問題ありません。
当然ながら課税する所得が発生していないためです。
しかし、確定申告が不要だからといって「確定申告を行なわないでもいい」という考えは間違えています。
勿論、申告義務があるわけではないのでペナルティ等が発生するわけではないのですが、実は確定申告とは自身の所得を申告するためだけにあらず、あらゆる控除を受けるためにも確定申告は必要となってきます。
その中でも、株式投資の場合は確定申告を行なうことによって『繰越控除』『損益通算』を適用する事が可能となるのです。

損益通算

損益通算
では、まず損益通算からご紹介していきます。
損益通算を行なうと、メリットとしまして株式取引の利益と損を相殺する事が可能となります。
また、損益通算は譲渡益や譲渡損だけでなく配当金も相殺の対象となりますので、あらゆるパターンの相殺ができるようになるのです。
損益通算の考え方としましては、例としまして、
『A口座で譲渡損が30万円発生した』『B口座で配当金が30万円発生した』
上記のようなケースが起きた場合、損益通算を行なえば利益と損益を相殺すると0円となりますので、課せられる税金が無くなります。
また、譲渡益と譲渡損の損益通算も行なう事はできますので、
『A口座で譲渡損が30万円発生した』『B口座で譲渡益が30万円発生した』
というケースでも損益通算は可能です。
損益通算を適用するためには確定申告を行なう事が条件となりますが、実は『源泉徴収あり特定口座』を利用している場合に限り確定申告を行なわなくても損益通算を適用する事が可能となる方法があります。
それは、『上場株式配当等受領委任契約』を結ぶことです。
上場株式配当等受領委任契約を結んだ場合、その後は配当金が特定口座に振り込まれることになるので、確定申告を行なわなくとも譲渡益と配当金が自動的に損益通算されるようになります。

繰り越し控除

繰越控除は、簡単に言うと損益を繰り越して控除できる制度です。
例えば、株式投資によって年間50万円の損益が出てしまった場合、通常ならば課税される利益が発生していないため確定申告は不要です。
しかし、確定申告を行い繰越控除を申請すれば、今後3年間はその50万円の損益を利益と相殺していく事が可能となるのです。
例で言いますと、
『1年目損益50万円』『2年目利益30万円』
となった場合、本来ならば2年目の利益である30万円に対して6万円ほど課税されてしまうのですが、1年目の損益が出たときに確定申告を行なっておけば、繰り越し控除のおかげで1年目の損益である50万円に対し2年目の利益30万円が全て相殺されるため実質利益は0円として申告可能となります。
しかも、残った損益分20万円もその後2年間の利益に対して相殺していく事が出来ますので、損益が発生し確定申告が不要となっても、確定申告を行い繰越控除や損益通算の申請を行なえば大きな節税効果を生むことができるのです。

確定申告=デメリットではない

確定申告=デメリットではない
確定申告=デメリットと考えている方は非常に多いです。
しかし、確定申告には「控除を受けることができる」というメリットも存在し、逆に言えば確定申告を行なわなければ受ける事ができない控除は沢山あります。
また、株式投資には『源泉徴収ありの特別口座』が存在するので、確定申告を行なわなくても納税に関してはそこまで心配する必要もありません。
勿論、それは源泉徴収ありの特別口座を利用している方に限った話ですので、自分がどの口座を選択しているか不明な方は一度調べてみたほうが良いでしょう。
基本的に、利益を上げていない方は株式投資の損益を申告する必要はありません。
ですが、義務づけられていなくとも確定申告を行なったほうが翌年以降大幅な節税となるケースもあるので、まずは確定申告にどのようなメリットがあるか知ることをおすすめします。

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